【書籍】『消齢化社会 年齢による違いが消えていく!生き方、社会、ビジネスの未来予測』から見える年齢によらない新しい社会
暗いニュースばかりが目につき、今後日本に住む私たちの生活はどうなるのだろう、と不安になることが多くなりました。GDPの約6割を占める国内市場の少子高齢化による縮小。2023年には日本の名目GDP=国内総生産が日本より人口が少ないドイツに抜かれたことが話題になりました。これから私たちや私たちの子供が住む未来はどうなるのでしょうか。
世の中を新たな切り口で見る手がかりを与えてくれるのが、書籍『消齢化社会 年齢による違いが消えていく!生き方、社会、ビジネスの未来予測』です。博報堂生活総合研究所が無料で公開している、1992年から隔年で実施されている生活者意識調査の結果「生活定点」から見えてきた世の中の動きを紹介しています。
変化が少ない失われた30年を全ての世代が経験してきたこと、生活インフラの充実により気力・体力・知識を補う環境ができ、年齢差があっても価値観が大きく変わらなくなってきていることを紹介しています。
「高齢化」ではなく「消齢化」が起きていると私たちに提起しています。
令和4年版の高齢社会白書の中でも2020年(令和2年)では、2010年(平成22年)と比較して、男女共に健康寿命が約2年ずつ伸びています。平均寿命と比較しても伸びが大きい状況です。ネット上でも現代の男性アイドルが昭和の俳優と比較して、見た目が格段に若返ったことが話題になったこともありました。また、サザエさんの登場人物の年齢もしばしば思った以上に若い、という驚きと共に注目されることもあります。
書籍の中では、服装などをはじめ、様々な角度から年齢の差がなくなってきていることを紹介しています。日本人は若返っている、技術の進歩により年齢に大きく左右されずに「できる」ことが増えた、「こうあるべきだ」という伝統的な価値観が少なくなってきた。
年齢の差がなくなったということは、多様性が受け入れられ、私たちが個としてより自由に生きられるようになったことを示しています。
市場が「年齢別」から「共感別」に変わったという説明に、共感される方も多いのではないでしょうか。市場の質的な面が変わってきた。
年齢だけにこだわって世の中を見ていると、ビジネスチャンスを逃すことにもなるかもしれません。これからを考えるために、一度は読んでおきたい一冊です。
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